ヴァラーハミヒラ(彘日、वराहमिहिर、Varāhamihira、505年 - 587年)は、古代インドの天文学者・占星術師。

解説

ウッジャイニー(ウッジャイン)に生まれ、アバンティ国の宮廷占星術師を務めた。「ヴァラーハ」は、サンスクリット語でイノシシの意味、「ミヒラ」は太陽神ミフルに由来するといわれ、著作の中で太陽神を賛美する文言が多い。父アーディトアダーサと息子プリトゥヤシャスも西洋占星術の技術者であった。

占星術と天文学とを扱った『パンチャ・シッダーンティカー』(Pañca-Siddhāntikā)や、占星術に関する『プリハット・サンヒター』(Bṛhat-Saṃhitā)などの著書がある。これらの著書は西洋占星術についての解説書であるとともに、インド伝来の多数の占いについても解説しており、出生占星術の教科書的存在であった。多くの用語がギリシア語を使用しているが、インド的な世界観に基づき改訂を加えている。

『パンチャ・シッダーンティカー』には、数学的に価値のある内容も含まれている。インドの失われた著作『スーリヤ・シッダーンタ』(Sūrya Siddhānta)、『パウリシャ・シッダーンタ』Pauliṣa Siddhānta)などの5つのシッダーンタについての記述がなされていて、その中には以下のような三角法の知識が含まれていた。

sin 2 x cos 2 x = 1 {\displaystyle \sin ^{2}x \cos ^{2}x=1\;\!}
sin x = cos ( π 2 x ) {\displaystyle \sin x=\cos \left({\frac {\pi }{2}}-x\right)}
1 cos 2 x 2 = sin 2 x {\displaystyle {\frac {1-\cos 2x}{2}}=\sin ^{2}x}

これは、初期の三角法は、インド天文学にとって必要だったことによる。

日本語訳

  • ヴァラーハミヒラ『占術大集成(ブリハット・サンヒター)古代インドの前兆占い』矢野道雄・杉田瑞枝訳注、平凡社東洋文庫、1995年。 (2冊)

脚注

参考文献

  • ジョーゼフ, ジョージ・G.『非ヨーロッパ起源の数学 もう一つの数学史』垣田高夫、大町比佐栄訳、講談社〈ブルーバックス B-1120〉、1996年5月。ISBN 978-4-06-257120-3。 

関連項目

  • インド占星術
  • インド数学
  • 6世紀生まれの天文学者

外部リンク

  • O'Connor, John J.; Robertson, Edmund F., “ヴァラーハミヒラ”, MacTutor History of Mathematics archive, University of St Andrews, https://mathshistory.st-andrews.ac.uk/Biographies/Varahamihira/ .
  • Pancasiddhantika, Brhat Jataka, Brhat Samhita and Hora Shastra Various editions in English and Sanskrit. (PDF)
  • The Brihat jataka (1905) Pdf edition internet archive

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