『ラブレス』(ロシア語: Нелюбовь、「無愛」)は、2017年のロシア・フランス・ドイツ・ベルギーのドラマ映画。監督はアンドレイ・ズビャギンツェフ監督、出演はマリヤーナ・スピヴァクとアレクセイ・ロズィンなど。離婚協議の中で12歳の一人息子を互いに押し付け合っていた夫婦が、その息子の突然の失踪という事態に直面する姿を描いている。
第70回カンヌ国際映画祭のコンペティション部門で上映され、審査員賞を獲得した。
ストーリー
キャスト
- ジェーニャ: マリヤーナ・スピヴァク - 美容室を経営。
- ボリス: アレクセイ・ロズィン - 一流企業に勤務。ジェーニャの夫。
- アレクセイ: マトヴェイ・ノヴィコフ - ジェーニャとボリスの12歳の一人息子。
- マーシャ: マリーナ・ヴァシリヴァ - ボリスの恋人。妊娠中。
- アントン: アンドリス・ケイス - ジェーニャの恋人。
- イワン: アレクセイ・ファティーフ - アレクセイ捜索チームのリーダー。
- 刑事: セルゲイ・ボリソフ
- ジェーニャの母: ナタリア・ポタポヴァ
製作
プロデューサーのアレクサンター・ロンダヤスキーは「この映画が『ロシア人の生活、ロシア人の社会、ロシア人の苦悩』の反映を目論まれているが、ほかの国々との関係を意味している」と語った。またロンダヤスキーはこの物語の発想の出発点は家族を観察するという願望であり、監督・脚本のアンドレイ・ズビャギンツェフが2015年に米国を訪れた際に物語の形成を始めたと述べた。ズビャギンツェフはまた当初はイングマール・ベルイマンの1973年のミニシリーズ『ある結婚の風景』のリメイクを目指していたことを明かした。
ズビャギンツェフは政治にはあまり関心がないと主張しているが、一方で彼の物語には「現代の警察は人々を気にしない」という彼の考えが反映されている。彼はロシア人が有益な政治改革に期待した2012年10月に物語が始まり、失望した2015年に締めくくられることに決定したと語った。また映画は2014年のウクライナへの軍事介入にも言及されている。『ラブレス』はロシアの汚職を描いたズビャギンツェフの前作『裁かれるは善人のみ』をロシア文化省から否定されたため、同国政府からの財政支援無しで製作された。代わりにロンダヤスキーはロシアの富豪のグレブ・フェティソフやフランスのホワイ・ノット・プロダクションズ、ベルギーのLes Films du Fleuveといた国外企業から資金を集めた。
主要撮影は2016年夏に始まった。ロケは全てモスクワで行われた。
公開
『ラブレス』は2017年5月に第70回カンヌ国際映画祭のコンペティション部門で上映され、パルム・ドールを争った。その後は7月のニュージーランド国際映画祭、8月のサラエヴォ映画祭で上映された。
ロシアでは2017年6月1日に封切られた。北アメリカでの配給権はソニー・ピクチャーズ クラシックス、中国では北京芸術技術が獲得した。
批評家の反応
Rotten Tomatoesでは51件のレビューで支持率は92%、平均点は8.2/10となった。またMetacriticでは加重平均値は90/100となった。
受賞とノミネート
カンヌ国際映画祭の審査員賞は審査員賞を授与した。ロシアでは政治評論家からの反発を受けたが、審査員獲得や米国での高評価を受けてロシアのオスカー委員会はアカデミー外国語映画賞のロシア代表の候補作とした。9月、ロシアは正式にこの映画を第90回アカデミー賞外国語映画賞に出品した。
脚注
注釈
出典
関連項目
- 第90回アカデミー賞外国語映画賞出品作一覧
- アカデミー外国語映画賞ロシア代表作品の一覧
- 機能不全家族
- 毒親
外部リンク
- 公式ウェブサイト(日本語)
- ラブレス - allcinema
- Loveless - IMDb(英語)
- Loveless - Metacritic(英語)
- Loveless - Rotten Tomatoes(英語)




